「自分の人生は自分が決める」 ――テレビ朝日映像株式会社 山村竜太《OBOGインタビュー》

テレビ番組の制作者としてチーフディレクターを務める山村竜太[やまむらりゅうた]さん。在学中は経営学を学び、アイセックには1995年に入会しました。アイセックに在籍した4年間で得たもの、その後の人生にも影響を与えたご経験、いまだに繋がりのあるかけがえのない仲間達…。アイセックを引退して約20年の年月が経過した今、お話を伺いました。

――現在のお仕事についてお聞かせください。

  
 テレビ朝日の番組を主に扱う番組制作会社で働いています。テレビ朝日の下請けの子会社で働いているというイメージです。テレビ番組はキー局で制作することもありますが、みんな外注しているのが現状です。いわばその外注先で働いています。今はお昼の「ワイド!スクランブル」という番組を担当しています。曜日ごとに分かれているチームの、水曜日を担当するチーフディレクターを務めています。チームには10人くらいの部下がいて、みんなを束ねながら水曜日の放送の中身を全部作っています。台本や、番組の流れなど、「どのような展開で起承転結しましょうかね」というのを考えて、番組の演出を指示しています。

お仕事中の山村さん

お仕事中の山村さん

――今のお仕事を選ばれた理由は何ですか。

  
 スーツを着たくなかったから(笑)。スーツを着ること自体が嫌だったのではなく、スーツを着る必要のある仕事を考えた時に「自分には向いていないだろうな」と思ったから。自由で楽しい仕事に就きたいと思いました。最初はそんな単純な思いからはじまり、後に「スーツを着ずに自分が出来ることってなんだろう?」と考え始めました。自分は図画工作が好きだったので「映像を使って何か表現することができたらいいな」という考えにたどり着き、テレビ会社・制作会社を受けることになりました。

――仕事をする上でのやりがいを教えてください。

 今の仕事は、数あるニュースの中から自分がどの話題を放送するのかを選んで、組み合わせて、それを提案する仕事です。それは他では経験できないと思っています。他にも偉い社長さんとかお医者さん、政治家というような世の中のトップランナーの方々に取材する際、実際に会ってお話をするときなどは刺激になるし面白いですね。

 

――「今」についてお話をお聞きしたところで、次は戻りまして「過去」についてです。アイセック在籍中は、どのようなことをしていましたか。

 僕が入会した頃は、海外からのインターン生を日本に受け入れる「受け入れ事業局」と、日本からのインターン生を海外へ送り出す「送り出し事業局」。それに加えて、今はないと思うけど、賛助金をもらいに行く「渉外局」という3つの部署がありました。学生でありながら会社に行って、社会人を垣間見ることができるというのに興味があったので、先ほど着たくないと言ったスーツを着て(笑)、企業に賛助金をもらいに行っていましたね。そうして得た賛助金をアイセックの活動をする上での費用に充てていたのですが、いただいたお金をどのようにして使ったのかという報告に行くことも活動の1つでした。僕は電力会社を担当していて、半年に1回のペースで企業訪問をしていました。
 2年生になってからは「受け入れ事業局」に移動して、先輩から受け継いだインターンシップを担当して、関係性が途切れないよう更新していましたね。他にはスリランカで開催された国際会議にも参加しました。当時はキャンパスが1、2年生と3、4年生で分かれていたので、本来であれば3年生になるとアイセック〝引退〟だったのですが、OBとして合宿に参加したり国内総会の運営をしたりしていました。4年生になってからはアイセック・ジャパンのメンバーとして参加し、内務担当として活動していました。イベントづくりや合宿の運営が主な役割でした。3年生の時に引き受けた国内総会の運営で、そのような内務の仕事が向いていると、当時の委員長に思われたんでしょうね。

――そのような活動を4年間も続けられたということですが、そもそもアイセックに入会した理由は何でしたか

 最初はアイセック志望ではなかったんです。「サークルどうしようかなー」とぷらぷらしていたら、どんどんサークル入会募集期間が終わり、入れるサークルが限られていってしまいました。そのようなタイミングで友人から「エジプトに15万円で行けるサークルがあるらしいよ」と聞き、元々海外に興味があったし「15万円でエジプト旅行に行けるのメッチャいいじゃん!」と入ったらそこがアイセック、全然違いました(笑)。15万円でエジプト旅行に行けるという噂は、アイセックのメンバーが頑張って得た賛助金などによってその価格にまで下げることができ、旅行というのも違い、活動の一環として訪問したという内容でした。アイセックは遊びや旅行で海外に行くことをサポートするのではなく、インターン生の人生が変わるようなインターン経験を提供できるような団体でした。

――在籍中にあった、嬉しかった出来事、反対に大変だった出来事を教えてください。

 嬉しかった出来事は…3年生のときに初めての彼女ができたことですかね(笑) 。その彼女を含め、アイセックのメンバー達に自分を「いいね」と認めてもらえたことがすごく嬉しかったですね。それまで野球しかしてこなかったガチガチの体育会系だった私にとっては、そのような出来事はその後の人生に大きな影響を与えるくらい、非常に自信になりました。自分にはどのような能力があって何ができるのかというのを知ることができたし、「自分の感覚を信じてもいいんだ」と自覚した瞬間でもありました。
大変だった出来事は…無いんですよね。きっと活動中は何かしら大変だったと思うんですよ。でも今振り返っても、総じて楽しく活動していたので大変だったという記憶が無いんです。

――アイセックで活動していた際、大切にしていたことはありますか。

 人の話をよく聞いて理解しよう、ということは意識しながら活動していましたね。活動においてグループ・ワークではコミュニケーションが重要なので、積極的に「聞く・理解する・受け入れる・伝える」を意識していましたね。それはとても今の仕事に活かされています。インタビューに行くにしても、チーフディレクターとしても、この基本的な姿勢は今でもすごく大切にしています。

――アイセックに在籍していた頃のお話をたくさんお伺いしましたが、どのようにしてモチベーションを保ち続けていたのですか。

 もともと、自分がやりたくないような仕事は、自分よりもその仕事に向いていると思った人に任せていました。だから自分は、自分が楽しいと思うことしかしていませんでした。恐らくそれを許してくれた周りのメンバーがいてくれたのだと思います。それに加えて「嫌なことを忘れるタイプ」だから、モチベーションが落ちたこともそれほどないんですよね。また、周りには自分よりも遥かに優れた人達がたくさんいたので、そのような人達に追いつきたいという思いで活動していたというのもモチベーションのひとつだったかと思います。優秀な人達はもっと前に進み続け、成長し続けているから、最終的に追いつけたかどうかはわからないけれど…ずっと「あの人たちに追いつきたい」という一心で活動を続けていましたね。

――アイセックで得られたものを教えてください。

 自分が死んだ時にちゃんと泣いて、線香を手向けて、手を合わせてくれる仲間です。僕は、人間の価値は死んだ時に決まると思っています。自分が死んだ時に涙を流してくれる人が1人でもいることで、自分の存在価値が確かめられるんじゃないかと勝手に思っています。アイセックでは、自信を持ってそうしてくれると思えるような仲間に出会えました。そしてそのような人達と「もうちょっと楽しいことをしたい」と思ったから、最後までアイセックを続けることができました。周りにはすごい人達ばかりがいて、活動していて本当に楽しかったんですよ。そう思わせてくれるような仲間や先輩・後輩達が、アイセックにはたくさんいましたね。

――ここまで、「アイセック」での出来事、「アイセック」に対する想いをたくさんお伺いしました。そしてその「アイセック」の理念は、世界で活躍できるリーダーを輩出することですが、山村さんにとってリーダーとは何でしょう。

 リーダーにはいくつかの種類があると思っています。みんなの頂点に立って、周りを引っ張って行く「織田信長」のようなカリスマ的なタイプと、みんなと同じ目線に立って対等なムードを作り、周りの背中を押しながら一緒に進んで行くタイプ。個人的に憧れるのは前者ですが、自分はどちらかと言えば後者のタイプ。昔も今もそうです。ただ、どちらのタイプであろうと「人心掌握」というのは欠かせない能力であると気づきました。人の心を知って、それを読むことで、どのような指示や要求をすれば周囲は動いてくれるのか、周囲の能力が活かされるのかがわかります。だから「人心掌握」を身につけている者が優れたリーダーであると思います。そういった意味でも「人の気持ちがわかる人間」になりたいです。

――それでは山村さんにとって「アイセック」とは何でしょう。

 社会人になる準備として最善の場所であったと、今振り返って思います。僕自身、アイセックで得た知識や力はそのまま今の仕事に活かせています。人の話をよく聞き理解するというのも、マスコミに務める者からしたらそのひとつです。色々な人に出会えて学べるのがアイセック。それは僕からしたら、実際に社会に出る前に社会を経験できた唯一の場所だったと思います。

インタビュー中の山村さん

インタビュー中の山村さん

――現在」「過去」についてお聞きしましたが、次は「未来」についてお聞かせください。山村さんの将来の夢は何ですか。

 仕事は楽しくて好きだけれど、将来は自分が本当に楽しめる好きなことや趣味で忙しい人生を送りたいですね。NBAのシーズンシートを買って、毎日観に行きたい。大好きな横浜ベイスターズの試合を毎試合応援したい。あとは、大好きな城巡りもしたいし、大好きなスターウォーズのロケ地やルーカスフィルムのスタジオの見学もしたい…などなど。昔から常に好きなことや楽しいことをしてきました。今後もそのように過ごしていきたいです。

――それでは学生に一言お願いします。

 自分の人生は自分が決める。誰かに指示される人生ではなく、一度しか経験することのできない人生を、自分の力で切り拓いて進んでほしい。
 私もまた、そうありたいと思っています。

2018.10.18