「アイセックが将来を変えた」 ――大手信託銀行系資産運用会社 橋本啓一 《OBOGインタビュー》

http://aoyama.aiesec.jp/wp-content/uploads/2018/11/b7ca1111330fc50f62946446191e6323.png

アイセックでは、メンバーに楽しんでもらうことをモットーに人材育成に励み、人との対話を大切にし続けた橋本啓一[はしもとけいいち]さん。アイルランドへのインターンシップを通して得られた経験を生かし資産運用会社で総務としてご活躍されています。今だからこそ感じられるアイセックで得ることのできた学び、キャリアとインターンシップの繫がりについて伺いました。

――現在のお仕事について教えてください。

 
今は資産運用会社で働いています。資産運用はお客様から預かったお金で株式や債券、商品に投資をして得られた収益を、投資をしてくださっているお客様に返すという仕事です。具体的には投資信託の商品を企画して、銀行や証券会社に販売してもらっています。我々は直接売るのではなく、投資信託という商品を作ってそれを金融機関に売っていただき、その手数料を頂きます。お客様から預かった資金を運用していくのがファンドマネージャーであり、会社や商品の将来性を吟味し、運用していきます。資産運用の仕事は金融業界の中ではもっとも伸び代があると思っています。銀行員の行っている仕事の多く、私の経験では7割がAIやロボットで代替できるでしょう。あとの3割は何かといいますと、提案や制度をお客様のニーズや考え方をつかみながら、どのような金融商品を提案するか考えることです。そのための商品を企画して売り込むというのも、人だからこそできる仕事です。私の会社ではその部分を担っています。私自身は資金運用を行っているのではなく、人事、総務を担当しており、社員の採用だったり、会社の会議(取締役会や株主総会)の運営だったり、オフィスの事務効率のアップに取り組んでいたりしています。

――今のお仕事を選ばれたきっかけを教えてください。

 
 アイセックでアイルランドへのインターンシップに参加したことがきっかけです。インターンシップで現地の企業から与えられたミッションがアイルランドにいる日本人の現地駐在員の方への聞き取り調査でした。具体的にはどのようにすれば会社の製品を日本に輸出できるのか、調査を行いました。製造業を中心にアイルランド国内にある現地法人をリストアップし、訪問調査を行いレポートにまとめました。そうした経験を通して、自分が起業するのも楽しいだろうが、相手の悩みや課題を聞き、そのソリューションを提供する仕事をしたいと思うようになりました。

インターンシップ期間中、旅行で訪れたアイルランドの風景

インターンシップ期間中、旅行で訪れたアイルランドの風景

――お仕事をする上で意識していることは何ですか。

職場で継続して仕事を続けてもらうために、面談を行う、研修の機会を与えるなど、社員がパフォーマンスを上げていけるような機会を増やすよう心がけています。社員からあの子いいよねと周りから言われる人を1人でも増やすことが私の喜びに繋がります。一般職から総合職への転換制度等、意欲のある社員に対してチャンスを与えて自主的に手を挙げてもらって、その機会へ踏み出せるよう背中を押してあげたいと思っています。

 

――学生時代、アイセックではどのような活動をされていましたか。

Education Officerという教育局をつくって、局員は私だけだったのですが、ああでもない、こうでもないと試行錯誤する機会が多かったですね。当時、会員は100名ほどいて、メンバーのモチベーションをあげつつ育成をしていました。当時のアイセック青山学院大学委員会の委員長の方針のもと、そのサポートをしていました。
私の代のメンバーは1~2年生は厚木キャンパスだったこともあり自宅やアパートが小田急相模原周辺に多く、頻繁に集まっていました。とくに同期が2人で住んでいた、小田急相模原のアパートがたまり場になっていまして、真夜中まで話し込んでいましたね。話す力やプレゼンテーション能力が良いとすれば、そこで鍛えられたと思います。強い主張をぶつけ合って、喧嘩をするわけではなく議論をひたすらしていました。あ、こういった返し方があるのか、ということだったり、いろいろ気づかせてもらいました。

―アイセックに入ったきっかけを教えてください。

 
自分の中に外国へ行くことへの憧れがあったことです。私が入学した当時の日本はバブル時代の真っ只中で、外国に活動の幅を広げる日本人がテレビで取り上げられていました。落合信彦さんという方がいまして、落合陽一さんのお父さんですが、彼が世界でさっそうと活躍する姿がコマーシャルで紹介されるなど、世界に羽ばたいていく日本人がテレビで多く放映されていたので、そうした姿に憧れ、また国際政治経済学部でおなじ学部の先輩が何人もいらしたこともあり、入会を決めました。人のことを考えるよりも、自分がやりたいことをやるということを意識していましたね。

アイセックでの活動についてお話される橋本さん

アイセックでの活動についてお話される橋本さん

――アイセックで活動中の嬉しかったこと、また大変だったことについて教えてください。

 1人でも多くの学生がインターンシップに行くと決意してくれることが嬉しかったです。今でも「橋本さんのおかげでインターンシップに行けたことを感謝しています。」と言われると嬉しいですね。反対に、大変だったことはメンバーがやめていってしまうことでしたね。学生時代の限られた時間では自分の好きなことをやっていくのが1番だと思いますが、やはり寂しいですし、仲間だから尚更辛かったですね。

――アイセックで得たことを教えてください。

 人は性格や考え方がひとりひとりちがうということ、だから相手との対話において意識すべきことが何なのかを学びました。アイセックのインターンシップで、何か物を言う、聞く時は、なぜその人がそのようなことを言うのかを考えてみることが重要だと学びました。ひとりひとりちがったバックグラウンドや立場があり、だからそういう発言になるのだと考えられるようになりました。相手と自分とはちがうんだ、ちがった価値観があるのだ、ということを受入れないと不満が溜まるのではないでしょうか。
また、自分のしたいことを明確にすることの大切さも実感しました。自分がやりたい仕事はこうだと思っても会社はあくまでもパフォーマンスがあがるかどうかを重視するので、必ずしも自分の希望が通るとは限りません。チャンスが来た時にそれを掴めるかどうかは、自分の強みや才能、何に対してやりがいを感じるのかを知っておくことにかかっていると思います。逆にいえば、そうしたことを知っておけば、アサインされる仕事が変わっても主体的に取り組むことができ、意味のある時間の使い方ができるのではないでしょうか。

――橋本さんにとってリーダーシップとはどのようなものですか。

自分が若手社員だった頃には、リーダーシップはパワーだ、という人が多かった気がします。部下を自分の思う方向に持っていく、会社の意図している方向に持っていく、それが会社の管理者として求められる力強いリーダーシップだったと思います。今は様々なリーダーシップがあると思っています。例えば、青山学院大学でも重要視されているサーバントリーダーシップは、強制力がないから決め事を作った上でメンバーとリーダーの気持ちが合わさって初めて実現できます。このバランスを取りつつリーダーシップを発揮するのは難しいですがメンバーが納得するということは大事なことだと思います。

――橋本さんにとってアイセックとは何ですか。

気づくことの大切さを教えてくれる場所ですね。現役時代のインターンシップが無ければ多分違った生き方をしていたと思っています。
 アイルランドでの研修期間中、最西端のイニシュモア島に旅行に行きました。何もない島です。島自体が大西洋の西に寄っていて海岸線には断崖絶壁があって柵も何もありません。おまけに訪れた3月は閑散期で見渡す限り誰もいません。その絶壁に立った時に、あ、これが自己責任というものなんだなと感じました。日本は危ないところには必ず柵があって近寄らないでと看板に書いてあります。また、日本にいると見渡す限り誰も何も無いといった環境はまずないですが、この島に来て自分が小さい存在だったと気づきました。
キリスト教の授業ではありませんが、命を与えられたということは神様から与えられたミッションがあるのだろう、そうするとそれは何なのだろう、自分はなにができるのだろうかと考えました。インターンシップをはじめ学校にもアイセックにも感謝しているし恩返しをしたくて、OBOGとして微力ながら協力させてもらっています。

――最後に大学生にメッセージをお願いします。

まずは自分の考えたこと、やりたいことをやってほしいです。体験してみて初めて分かることも多いですし、まずは1歩踏みだしてみると世界が変わってくると思います。
青山学院大学のいいところは、足をひっぱりあうのではなく長所を認めてそれを評価してくれて喜んでくれる人たちが多い学校だと感じています。私はおなじ人間であっても性格や考え方は人それぞれにちがうものだと思っていて、それゆえひとりひとりちがった才能が与えられているのだと考えています。そしてその与えられた才能を自分でしっかりと認識してそれを活用していくことが大切なことなんだろうと思っています。みなさんの活躍をOBの一員として心から期待しています。

2018.10.20