『アイセックでの経験は、思い出だけに留まらない。』 ――株式会社 鍋島戦略研究所 鍋島勢理 《OBOGインタビュー》

アイセック青山学院大学委員会で、受け入れ事業局のチームリーダーとしてご活躍されていた2010年入会の鍋島勢理[なべしませり]さん。アイセックで活動された後、1年間の休学を決意し、イギリスのオックスフォードへ語学留学に行かれました。青山学院大学卒業後には1年間イギリスのロンドン大学大学院でエネルギー政策などについて学ばれた後、電力会社国際室に就職。その後独立して起業された鍋島さんに、アイセックでの最も充実した経験や、社会人になってから活かせたアイセックでの学び、起業した際に直面した困難、そして、現在も、青山学院大学委員会に、メンバーへの講演や、OBOG会へのご出席等で関わり続けてくださる理由を伺いました。

――アイセックでの活動をされている中で、ロールモデルとの出会いはありましたか。

 大きな影響を受けた人は2人いて、まず1人がアイセックのメンバーで、もう1人はインターン生です。
1人目は私が1年の時活躍されていた当時4年の市川舞さんという先輩です。学年が少し離れていることもあり、活動を始めてすぐはあまり接点がありませんでした。ただ、1年の冬頃に、市川さんからインターン受け入れ先企業を引き継がせていただいたことがきっかけで、活動の面白さやキャリアのことなど、まだまだ未熟だった1年生の私に対して親身に話して接してくださいました。何よりも、本当にアイセックが実現したいことは何かをしっかり考えていらっしゃって、どうすればアイセックの活動が社会に対してプラスの影響を与えることができるのか、単身海外から日本にきたインターン生が、インターンを通して何を実現することができるのかをとても真剣に考えている方だったんですね。営業活動も受け入れ事業部の活動の中一つとして重要だけれども、長い時間をかけてたくさんの方のご協力のもと、ようやく来日が実現し、そして今目の前にいらっしゃるインターン生に対して、何ができるか。その想いが伝わってきて、アイセックメンバーとしても先輩としても人、としても、たくさんのことを学ばせていただきました。市川さんの物事に対する姿勢とインターン生に向き合う姿を見て、2年のときにチームリーダーとしてチームメンバーと共に立てた目標は「ありがとう研修の創出」でした。インターンに関わる全ての人に、受け入れてよかったと心から思ってもらえるような、そしてインターン後も人として関係性が続いていくようなインターンを実現したく。試行錯誤の日々で大変でしたがチームメンバーと協力しながら、支えてもらいながらなんとか一年間走りきることができました。

2人目は、インターン生で私が1年生の時に先輩のアシスタントとしてサポートさせていただいたチャンさんというベトナム人の方です。その方は今日本に住んでいます。ベトナムでトップランクのハノイ貿易大学で大変優秀な成績を修め、英語も日本語もペラペラで、将来グローバルで活躍したいと目標を掲げている方でした。勉強するだけでなく、日本で仕事がしたいという具体的で熱い思いを持っていらっしゃり、そのためにスキルアップ、レベルアップを継続的にしている方でした。1年生の時に彼女に出会って、私は「あ、世界にはこういう人がいるんだな」と、大きく影響を受けたんですね。日本にも色々な人がいるから一概には言えないけれど、なかなか語学や仕事のスキルアップにしても、前進する意欲を持ち貪欲に取り組める人ってなかなかいないなと思って。彼女との出会いをもたらしてくれたのは、アイセックで活動していたからこそなので良かったと心から思います。

広島の田舎の方から上京してきて、初めて濃い時間を過ごしたのがアイセックでかっこよく活動している先輩方や同期のメンバーで。18歳の鍋島さんはいい意味で影響受けまくりでした。

卒業後のキャリア選択について、真剣にお話しくださる鍋島さん

卒業後のキャリア選択について、真剣にお話しくださる鍋島さん

――卒業後のキャリアを教えてください。

 青学を卒業した後は、ロンドン大学大学院のUniversity College Londonで1年間、エネルギー×IoT、サイバーセキュリティ、安全保障を勉強していました。震災後はエネルギー問題をめぐる議論が日本でも盛んになって。そこで様々な分野からこの問題について学んでみたいと思いロンドンで学びましたが、実際の現場で、実情を知りたいという思いがあり。そのため帰国後、電力会社に就職をしました。国際室海外調査グループで、主にヨーロッパの電力事業者が自由化でどのような新しいサービスを始めたのか、課題は何かなど、実際携わっている人から話を聞くなどして業界誌に寄稿したり、役員を含む社内向けのレポートを執筆したり。大学で学んでいたことも生かせ、業界を超えた多くの方と出会う機会もあって充実はしていましたが、より制限なく考えや情報を発信できる機会のオファーもあって。社会も自分の置かれている状況も日々刻々と変化している中で、チャレンジしてみたいという思いが強くなり、一年も経たないうちに退職し株式会社を立ち上げました。今は組織のデジタルトランスフォーメーション支援をする一般社団法人や外資コンサルティング企業などで仕事をしています。テレビの仕事もそのうちの1つです。22歳で就職してずっと同じ企業で30年働く時代は終わり、これからの時代は『個が生きる』時代だと思っていて。先ほどお話した影響を受けたベトナム人のインターン生も、個としての生き方を追求していて。だから彼女から結構インスパイアされたところがあると思います。本当に色々な考えがあるとは思うし人生に正解なんて何もないですよね。私は多くの人との出会いからこのような生き方がしたいなと思って留学したり、就職したけれど色々なタイミングも重なり、独立して自分でやっていこうと思いました。

――起業して直面した困難等があれば教えてください。

たくさんあります。引き受ける仕事の内容や幅、収益、見え方など考えなければならないことが一杯です。今は1人で経営もして、自分1人の社員ができることを企業で業務として行い、自分っていうサービスをある意味売っている状況なので、できることも限られ、結構いっぱいいっぱいになることも。見極め方としては、笑われてしまうかもしれませんが、自分が楽しいと思えることをする、です。そのため仕事を選べる点ではこのような働き方をしたからこそなのかと。独立したからこそ会社の立ち上げ方も勉強になったり、いかに法人税が高いのかも知りました(汗)電力会社というある意味安定している企業から貯金もほぼないまま退職した自分は、よっぽどリスクが好きなのかと思うほどで、将来不安がないといえば嘘になりますが、時代に合わせてフレキシブルに仕事をしていければいいかなと思います。大手企業でも副業やリモートワークが促進されつつある中で、時間や空間にとらわれることなく仕事ができる時代。地球の反対側にいても日本と普通にコミュニケーションできる。女性も仕事がしやすい環境になっていると思います。

 

――現在のお仕事で、1番やりがいに感じていることを教えてください。

たくさんあるんですけど、やはり情報を発信する仕事です。自分が得た知識や、何処かに行って聞いた話、会った人の話を、雑誌やインターネットのコラム記事、テレビなどの場で発信して、それを見て、為になったと言ってもらえることも多くてやりがいを感じています。「知っていること」と「伝えること」は全く別で、私もまだ勉強中だけれども、いかにわかりやすい言葉、表現で伝えるかは、とても重要だなと思っています。世の中でバズワード化して、わかっているつもりでも本質は理解できていないことも多くて。そのためまず自分がしっかりと咀嚼して理解して、そして意見を乗せて話したり記事にしたりする。それで勉強になったと言って貰えたら嬉しいです。例えば、量子コンピューターやディープラーニングなどで今注目されているカナダのトロントに昨年行って、組織のデジタル化を促進したり政府の中でサイバーセキュリティを統括している方々をインタビューしてきました。そのときの内容を先月、200名ほどの経営層向けにシンポジウムにて報告したところ多くの反響をいただきました。今年も欧米でのインタビューを予定していて、結構、今は海外の動きや人を日本で伝えることがとても楽しいです。

――現在も、OBOG会にご出席いただいたり、現役生に講演をしていただくなど、鍋島さんがアイセックに関わってくださっている理由を教えてください。

理由ならたくさんあります。
 1つ目は、後輩たちが頑張ってるから、役に立てるかわからないけど、少しでも自分が関わることで力になれたらなという風に思うからですね。後輩とお話する機会に触れることで学ばせてもらうことばかりです。
2つ目に、私も現役の時に先輩たちから、それこそ市川舞さんやもっと世代の先輩たちからも多くの影響、刺激を受けました。どのようにアイセックの経験が将来活きるかみたいなことも学生だとやっぱり見えにくかったりするでしょう。私このままでいいのかな、今やっていることって将来繋がるのかな、と不安に思っているところが、先を歩く人の姿を見ることで自信に繋がって、よし、このまま進んでいけばいいんだと思えた経験が私にもあったから、私も関わり続けたいなと思います。
後輩が頑張っている姿を見るとやはり頑張りたいなと思うし、どのように私が皆に映っているかわからないけど、やっぱり話を聞きたいなと思ってもらえ続けるような人でいつまでもあり続けたいなと思う。それはある意味、いい刺激になりますよ。

――アイセック青山学院大学委員会の現役生にメッセージをお願いします。

 大学生という時間は、長いようで短いです。だからこそ、たくさんの選択肢が目の前にある中で、不安になることも多いと思います。ただ目の前のことに全力で取り組んだ結果、何かを選択する上で重要なヒントを自分自身で見つけることができるんじゃないかなって。その結果これじゃない、と思えば方向転換すればいいです。人生二度なしです。現役のときは涙することも結構あったし大変なことも多いですが、青春というかいい思い出だったなと思うし、思い出だけに留まらないのがやっぱりアイセックの経験じゃないかなと思います。今の仕事にもアイセックでの活動の仕方や人との出会いが生きているなと強く感じてもいますし。現役生のことは本当に応援しています!

2018.01.23